須賀敦子の「ヴェネツィアの宿」
April 4th, 2009
旅に出るときは、一冊文庫本を持ってゆく。今回はイタリアということもあり、奥さんが読み終わった須賀敦子の「ヴェネツィアの宿」をとっさにリュックに入れて飛行機に乗った。そんな気まぐれから選んだのだけれど、一旦読み出したら止まらなくなり、気がつくと旅の半ばを待たず読み終えてしまった。須賀は、まだ外国に出ることさえ困難だった1955年20歳代でパリに渡り(もちろん船で)、その後ローマやミラノで15年あまりを過ごしている。その間、イタリア各地を訪れ、もちろんフィレンツェにも立ち寄っている。そんなこともあって、自分が歩いている同じ路地の石畳は、多分彼女が歩いたときとほとんど変わってないだろう、なんてふと思った。ヨーロッパ各国はもちろん、アジアやアフリカから来た様々な友人との出会いや別れを通して、彼女が学んだ態度のひとつにこんな言葉があった。間違ってなければそれは「人を人種ではなく、その人として見ることが出来るか」というものだった。人種って何だろう、まして国籍とは?国境を越えて人や情報が交流する時代だといわれているけど、そんな事態は紀元前の大昔からあったはず。ヨーロッパはたくさんの戦争を経て、ようやくEUというパスポートなしの世界を実現できた。いつか、アジアにもそんな大きなコミューンが生まれる時が来るのだろうか。時の流れが寛容であればいいのだけれど。
スツールと椅子の紹介
April 3rd, 2009
今回の買付けで入荷した、シャルロット・ペリアンのスツールや、ピエール・ガーリッシュの椅子、アルネ・ヤコブセンの子供椅子を紹介しました。ひきつづき新入荷ページでご覧頂けます(随時更新中!)
ダンテ・アリギエーリ
April 3rd, 2009
フィレンツェ最後の夜、名残惜しげにテクテク歩いてゲストハウスへ戻る途中、サンタ・クローチェ教会の前を通りかかった。ミケランジェロやマキャベリなどが眠る古い教会はライトアップされ、壮大な大理石模様の建造物の向かって左にある彫像が漆黒の夜空にくっきりと浮かび上がっていた。町中至る所にある聖人や神話の彫像と違いなんだか生々しく、そのとんがった風貌が異彩を放っている。銘板を見ると、ダンテ・アリギエーリとある。13世紀に彼が書いた叙事詩「神曲」は、イタリアで初めて一般人が読み得たベストセラーといわれる。それまでの書物はラテン語で書かれ、一部の知識人しか理解できなかったのだが、ダンテはフィレンツェがあるトスカーナ地方の言葉で書き、後に活版印刷が発明され市井に広まることが出来たといわれている。確かそのことがきっかけとなりイタリア語というものが統一され、その後のイタリア統一へとつながることになった、と柄谷行人の本で読んだことがある。その時初めて「言葉の力」とは、実は近代国家(ネーションステイツ)形成にとって、「なくてはならない」重要要素なのだと初めて思い知ったわけである。ときたま「デンマークって何語なんですか?」という質問を受けることがあり、「もちろんデンマーク語です」と答えると、ちょっと意外な顔ををされる。一部の例外を除くと、近代国家とは独自の言語を持っていることが必須なのは知っていて良いことだと思う。それにしても、僕は大著「神曲」をいつか読むことがあるのだろうか?原題である「Divine Comedy」なら、イギリスに同名のバンドがあって一時ファンだったのだけれど。
CD、LP 在庫SALE!
April 2nd, 2009
店内レイアウトのアレンジに伴い、店頭のCD、LPを総て50%OFFにて在庫一掃セールいたします!
期間は4/4日(土)-4/19(日)まで。
一枚一枚選りすぐりの名盤ばかり。
この機会をお見逃しなく!
かすり
April 2nd, 2009
福岡アジア美術館でやっていた「久留米絣」の展覧会に、最終日の前日ようやく駆けつけることができた。organでも商品を扱っている「gi」さんが協力していることもあり興味深く見ることが出来た。服や小物となって使われることを前提とした「かすり」だが、センス良く展示されると様子が一変してグラフィカルな面白さが楽しめる。しかし、パネル説明を読むんでみると製作工程が多く、「くくる」、「染める」、「織る」を含めて30工程ほどだと知って驚いた。それに、どんなに注意深く図案を再現しようとしても、工程の中で必然的に「ズレ」が生じるらしい。そもそも「かすり」という名前も、その「ズレ」からくる「かすれ」感が由来らしく、ガッテンしてしまった。そういわれてみると、滲んだようなズレが独特の揺らぎ感を生み出しているわけで、そここそが絣の魅力なのかもしれない。店頭でも好評なバスクシャツにしても、遠目に見ても普通のストライプとは違った微妙な線がひと味違ったクラフト味を出しているのだと思う。写真の大きなドット模様など、北欧にも通じるようなキャッチーなパターンなのだが、輪郭が霞んでいるところがいかにも日本的だ。