#01: 土足を選ぶ

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 このビルを建てた25年前、僕はまず靴のままの生活を夢想しました。映画で見た西洋風の暮らしにあこがれていたのかもしれません。でも、理由はそれだけではありません。外国人の中には、靴を脱ぐスタイルを実践している人もいます。肝心なことは、その人なりのライフスタイルを選択することだと思ったからです。

 具体的な話をしましょう。友人のマンションの玄関ドアを開け、狭い空間で「よいこらしょ」と靴を脱ぐときの何とも言えない時間。下駄箱に入りきれなくなり散乱している靴。それなりにお洒落をしてきても、靴を脱いでスリッパ姿になることでご破算になってしまうやるせなさ。せめて、我が家のゲストにはそんな思いはかけたくない、と思ったのです。当然、雨の日などの汚れを気にしました。でも、実際には玄関マットで少し念入りに靴を拭くことで解消されます。それに、いろいろな靴に踏まれることでフローリングがいい感じの実在感を帯びてきます。掃除もまめにやるようになりました。モチロン、始終靴というわけではありません。夏はビーサンや裸足もあり。なんだか、少し自由になった気がしたものです。

 大切なことは、装飾ではなく、自分らしい住み方。いかに洋風な意匠を凝らしても、旧来のスタイルにとらわれていては仕方がありません。それは、「靴の生活」というものを(ただし、足音は静かに)実行してみると、考えられているよりもはるかに快適であったりすることでもわかります。ヴァーチャルではないリアリティを持った環境を模索するために、様々なヴィジョンを持つスタッフと一緒に実践してみませんか。

  さしあたって、4月25日から始まる「デザイニング展」への参加を決めています。そこでは「靴の生活」をめぐる様々な試みが提案されることになります。詳細は、追ってお知らせ致しますので、どうぞお楽しみに。