鳥取探訪

 今回の鳥取探訪は、ある日organを訪れてくださった大江さんという鳥取県の観光局の方との出会いから始まりました。デンマークで買い付けてきたばかりのHjorth窯の器を気に入っていただき、それがきっかけで話をするうちに、民藝をはじめとした様々な工芸に対する彼の思いの強さを感じたのです。そして、ぜひ鳥取へいらして下さいというお誘いを頂き、これは行くしかない、ということでENOUGHの仲間と一緒にはせ参じたという次第なのです。
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 2泊3日の旅は、大江さんの綿密なスケジュールのおかげで、とても充実したものとなりました。訪れた窯元は6軒。そのうちの「山根窯」、「岩井窯」、「中井窯」は、3年ほど前に一度伺ったことがあるのですが、ひとくちに鳥取の民藝窯といってもいろいろです。今回あらためて各々の窯が持つ個性をなんとなくですが確認することが出来ました。初めてだった「法勝寺松花窯」では若く可憐な2代目の作品に触れ、「牧谷窯」ではサーフィンと作陶を愛する若者に出会いました。田んぼの中にたたずむ「延興寺窯」では、まるで 夏休みにおじゃまする親戚の叔父さんの家のようにくつろぎました。もちろん、目を皿のようにして品定め、しっかり買付をしてきました。
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 そのほかにも、弓ヶ浜に古くから伝わる手紬、藍染め、手織りによる絣を伝承している「工房ゆみはま」、和傘の技術を継承している「淀江傘伝承の会」、手漉き和紙で知られる「大因州製紙」などへおじゃまして、伝統の技におもわずため息。大山の裾野にある「植田正治写真美術館」では、アマチュアリズムを貫いたモダンな写真家の存在に驚いたりしながら、山陰路を西に東に駆けめぐりました。折しも季節は梅雨まっただ中。山々の間をぬうように流れる渓流では鮎を釣る人がいたり、水田には田植えを終えた苗が青々として風にたなびいていたものです。そうそう、夜はモチロン、大江さんお薦めの居酒屋で海の幸に舌鼓。めずらしい食材や菓子にも遭遇。8月末に予定している「鳥取の取っておき」展でご披露できるのを楽しみにしています。