info

アイテム更新

info | new item
DATEJan 29. 23

フランス・ジュラ地方の「レスカ・ルネティエ」のヴィンテージパーツを用いたアップサイクリング・アセテートのシリーズのサングラスと、メガネ、鹿児島の「リュトモス」のレザーアイテム、ドイツ出身のアーティスト メラニー・ディコーセイのアクセサリーが入荷しました。
お気に入りを身につけて、ご機嫌に日々を過ごしましょう!
online shop

現在天候の影響で配送に遅れの出ている地域がございます。
お客様には大変ご迷惑をおかけし恐縮ですが、何卒ご理解くださいますようお願いいたします。

Akihiro Woodworks “jincup” 各種入荷しました

info | new item
DATEJan 23. 23

Akihiro Woodworks から ジンカップとチッチ、新商品の”jincup ceramics”が入荷いたしました。
店頭でのみ販売中。
手にとってみて頂きたいアイテムですので、ご来店ください。

<Akihiro Woodworksのアイテムご購入について・ご注意点>
※ジンカップとチッチ、ともに、おひとり様1点のご購入とさせていただいております。
※ご予約やお取り置き対応は受け付けておりません。

とてもお問い合わせの多い商品で、今回いくつかの制限を儲けさせて頂きました。
大変恐縮ではありますが、どうぞご理解のほど、何卒よろしくお願いいたします。

アイテム更新

info |
DATEJan 14. 23

本年初めてのアイテム更新です。
イタリア、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス、オーストリア、アメリカなど盛りだくさん。
デザインをめぐる旅を楽しんでいただけますように!
今年もよろしくおねがいします。
online shop>>

再入荷アイテム

info | new item
DATEJan 8. 23

ここ最近で再入荷したアイテムです。リサ・ヨハンソン=パッペのシーリングランプとリサ・ラーソンのオーナメント。レスカのフレームも、店頭にはvintageシリーズなどが入荷しています。
再入荷アイテム>>

『ぼくの伯父さん』

info | new item
DATEJan 7. 23


みなさん、明けましておめでとうございます。
今年も楽しくお付き合いください。

まずはお知らせ。
1958年にジャック・タチが監督主演したフランス映画『ぼくの伯父さん』を僕らが発見したのは1980年代、飛びっきり無口でモンドな主人公ユロ伯父さんにエールを送りました。そのパントマイマーのような特異なキャラクターに「ノン」ではなく「ウィ」を感じたからです。それから35年、『ぼくの伯父さん』が小説として帰ってきました。翻訳を手がけたのは”ジャック・タチ愛”溢れる小柳帝。映画の視点とは違って、甥っ子の少年ジェラールの目を通したユロ伯父さんが引き起こすドタバタ事件事故がサイコーなんです。ぜひご一読ください。
*さらに映画の各シーンを見事にイラストレーション化したのはピエール・エテックス。実は、エテックスはゴダールも絶賛した映画監督でもあるのです。そんなエテックスですが、近々レトロスペクティブ上映が福岡でも観れるかも。こちらもお楽しみに。

というわけで、今年は幸先がよいスタートなのです。

『ぼくの伯父さん』ジャック・タチ原案、ジャン=クロード・カリエール作、ピエール・エテックス絵、小柳帝訳 

年末年始の営業

info | news
DATEDec 27. 22

年内は12/30(金) までの営業となります。
12/31(土)ー1/4(水) 休み
1/5(木)から通常営業いたします。

いつもホームページをご覧いただき、どうもありがとうございます。
本年もお世話になりました。
良い年末をお迎えください。どうぞ心身ともにリラックスを!
来年もよろしくお願いいたします。

Calendar 2023 by Naoki Yabu 藪直樹

info | new item
DATEDec 26. 22

2023年・藪直樹のカレンダーは、どれも”描き下ろし”。
具象と抽象をヒョイとまたぐスタイルは不変です。
カレンダーの役目を終えた後は、一枚の絵として鑑賞できる仕様となっています。
¥16,500(税込) と ¥25,300(税込)
店頭で販売中です。
問い合わせ先
tel:092-512-5967
mail:info@organ-online.com

アイテム更新 “Melanie Decourcey”

info | new item
DATEDec 19. 22

メラニー・ディコーセイのネックレスとリングをオンラインショップに追加しました。
作家自身が作りだす個性的なジュエリーは、たったひとつのとっておきです。
Melanie Decourcey>>

岡本敬子『私の定番』出版記念トークイベント & Pili Pop-up Store at organ

info | news
DATEDec 11. 22

organ夫婦とも個人的に親交(信仰?)がある、服飾ディレクター 岡本敬子さんをお迎えして、先日出版された彼女の著書『私の定番』にまつわるトークショーを開催します!
当日は書籍販売、パネル展示とサイン会。岡本さんがディレクションを務める千駄ヶ谷のセレクトショップ[Pili]のアイテムなど、書籍に紹介されている一部の関連アイテムの即売会もしますので、ご本人を交えながらのショッピングもぜひお楽しみください。
ちなみに、[Pili]のアイテムは、同時開催のポップアップ”Pili Pop-up Store at organ” 期間中(12/17-25)はいつでもお求めいただけます。

トークショー 『私の定番』
ゲスト 岡本敬子、and more(シークレット)、聞き手:武末朋子(organ)

開催日時
2022年12月18日(日) 14:00-15:30 (サイン会も含む)

参加費:¥1,800(お土産 NUMBER SUGARのキャラメル 付)
予約制 定員17名 (※予約数に達しましたので、ご予約は締め切りとさせていただきます)

同時開催:Pili Pop-up Store at organ
会期:2022年12月17日(土)ー12月25(日) ※12/19,20,21 休み

アイテム更新 “SIRI SIRI”

info | news
DATEDec 11. 22

先日は”SIRI SIRI pop up at organ”にお越しいただきありがとうございました。会期は終了しましたが引き続きSIRI SIRIの一部アイテムを店頭とオンラインショップのSIRI SIRI>>からもアイテムをご覧いただけます。
SIRI SIRI>>

“SIRI SIRI pop up at organ”のご案内

info | news
DATENov 28. 22

SIRI SIRI pop upは12/3(土)までご覧いただけることになりました。
会期は以下のように延長いたします。

追加日時 
12/1(木) 14:00-18:00
12/2(金) 14:00-18:00
12/3(土) 13:00-19:00 最終日
12/4(日)以降は通常営業に戻ります。

会期中にお問い合わせいただいた皆様、ありがとうございました。
お時間が合えば、ぜひこの機会にお越しくださいませ。
お待ちしております。

イベントのお知らせ

info | news
DATENov 16. 22

SIRI SIRI pop-up at organ

“感性とテクニックが交感するジュエリー”
2006年、デザイナーの岡本菜穂さんがスタートさせたジュエリーブランド<SIRI SIRI>のポップアップをorganで開催します。

日本の伝統技術を持つ職人たちがひとつひとつ仕上げた美しさと、デザイナーの意匠がしっかりと残るフォルムをしたジュエリーは、エレガントで明快です。
気がつけば、当店の取り扱うヴィンテージの陶磁器やグラスウェア、デザインアイテムにしっかりと呼応するではありませんか。
素材使いの意外性と、固定観念にとらわれないその自由な表現が、かつてのモダニストたちと同じものだからかもしれません。

今回、会場ではorganのセレクトしたヴィンテージアイテムとSIRI SIRIのジュエリーを、ミックスアップして展示いたします。手に取って身に付けて、その魅力を存分に体験していただけます。
どうぞ足をお運びください。
23日(水)と24日(木)はSIRI SIRIのスタッフの方がいらっしゃいます。

会期:2022.11.23 wed – 11.28 mon (会期中は休み無し)
時間:13:00 – 19:00
場所:organ 福岡市南区大橋1-14-5 TAKE−1ビル4F
tel:092-512-5967
mail:info@organ-online.com

トークイベント  [小柳帝が2022年公開の映画を語る vol.2]

info | news
DATENov 13. 22

フランス語教室[ROVA福岡校]がお休みして以来、なかなか福岡でお話を聞くチャンスが少なくなった小柳帝さんが、今月来福しトークイベントを開催します。映画にまつわるイベントに、ぜひご参加ください!

[小柳帝が2022年公開の映画を語る vol.2] 〜下半期のベストと来年の見どころ〜
福岡で年末恒例だった「小柳帝のシネマゆく年くる年」はコロナ禍でここ数年開催できておりませんが、2022年も年の瀬にさしかかった11/25(金)の夜、『小柳帝のバビロンノート』の原点でもある大橋のインテリア・ショップ「organ」にて、今年の下半期公開映画のベストと、来年公開予定の映画の見どころについて語る、まさに「ゆく年くる年」的なトークイベントを開催することにいたしました。最近力のある新作が目白押しの日本映画シーンについても語ります。「ゆく年くる年」にご来場頂いていた方も、そうでない方も、ぜひ大橋まで遊びにいらしてください!

当日、福岡ではなかなか購入しにくい『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書1〜3』、福岡南央子さん著の『バビロン編集ノート 創造する女性たち』の販売も予定しております。

日時:11/25(金)21:00〜22:30

会場:organ(西鉄大橋駅西口駅前)

予約制:下記アドレスまでメールにてご予約を承ります(お席には限りがございます)

ecole.rova@gmail.com

*タイトルを「映画講座参加希望」とし、お名前(フルネームで)、お持ちの携帯の番号をお書き添えの上、お申し込みください。

参加費:1500円

アイテム更新”ハノイで見つけました”

info | new item
DATENov 9. 22

 先日訪れたベトナムのハノイで見つけた主に古い陶器、それにアクセサリーや古布などをアップしました。
モダニズムにエスニックを加味すると、意外な効果が現れます。
時を経た”カッコイイ”をご覧ください。
Folklore>>
合わせて、ブログ”ひょん”の『優しいアナキスト』もご一読ください。

優しいアナキスト

info | カルチャー 旅 社会科
DATENov 1. 22


 2009年に初めてベトナムに行ったのはサイゴンのつもりだったけど、実はホーチミンという名前に変わっていた。
 高校生だったころ、キューバ危機、ケネディ暗殺に続いて1965年にアメリカは北爆を開始して、ベトナム戦争が本格化した。共産主義と資本主義の対立の中での、アメリカとソ連、中国による代理戦争だった。その戦争は泥沼化し10年くらいも続いて南北ベトナムは共産主義国家として統一された。その間、ぼくはビートルズやヒッピー達の平和へのアピールにシンパシーを持ちながら、サイゴンという名前をニュースで聞かない日はなかった。サイゴンはアジアでもっとも有名な場所になっていた。そして戦後、北ベトナムの英雄ホーチミンの名前に変えられたのだった。
 ホーチミンはバイクと喧騒が渦巻き、信号のない道路を渡るのも一苦労で、なんとかコツを掴んだのは帰国間近の事だった。そこには、映画やニュース映像で見た戦禍の跡はなく、忙しく働く人々の生命力であふれていたが、資本主義の残影だったかもしれない。
 その7年後、ベトナム中部にあるホイアンという世界遺産に登録された街へ行った。そこは、今ではリゾートホテルが立ち並んでいるが、ダナンというベトナム戦争時の激戦地からほど近いところだ。その旧市街を歩きながら、ぼくは骨董用語で”海揚がり”と呼ばれる安南焼の古陶器を探した。16世紀というから江戸時代、ホイアンは日本を含むアジアとインド、アラブ、ヨーロッパを繋ぐ”海のシルクロード”の中継地だったのだ。その交易ルートは琉球を経て博多へも伸びていたから血が騒いだ。日本人町もあったという古い町並みに残る骨董屋で、安南焼やタイのスンコロクなどを買った。海水と泥にさらされて絵付けが消えかかってしまった陶器は、この国の長い時間の結晶のように儚いことを知った。
 滞在中にホイアンの郊外の田園を巡る半日の自転車ツアーに参加した。といっても自転車に乗れないぼくは、ひとりだけバイクの後ろに乗っけてもらったからラクチンだった。
 ツアーを企画したのは若くハツラツとしたベトナム青年のガイドで、ぼくたちは古い寺院の遺跡跡やベトナム独特のお墓などに案内された。田園に散在するエビ養殖池では「これはほとんどが日本向けの輸出用です。実は、この池はベトナム戦争でアメリカが落とした爆弾の穴を利用しています」と物騒なことも教えてくれた。転んでもただでは起きない人たちなのか。さらに、ベトコンが仕掛けた罠や、地中に残された狭く長いトンネルも見せてくれた。最後は青年の家に招かれて、奥さんの手料理をいただいた。それは素朴な家庭料理で、食材は彼らが育てた鶏や無農薬野菜。彼はオーガニックな農業を本業とすることを目指していると言っていたっけ。たくましいなあ、と思わざるを得なかった。だからなのか、次はハノイへ!、と思った。
 福岡から4時間半くらいでハノイに着き、ホテルにチェックインしてまず向かったのは「ベトナム女性博物館」。今回の旅でまず行こう!と思っていたところ。なにせ”女性”に特化した博物館なんて聞いたこともない。社会主義国ならではの振る舞いなのか?
 1995年に開館した建物はちょっとヒナビタ感じだが旧宗主国フランスの残り香もある。全体のテーマは「家庭での女性」「歴史のなかの女性」「女性のファッション」となっているが、ぼくの目当てはベトナムの54の民族が受け継ぐ伝統的工芸品。なかでも籠や布、アクセサリーたちは、目をみはるほど美しい。そして川久保玲の作品と見間違うようなスタイリングを施した展示についシャターを切りまくった。
 一方、「歴史のなかの女性」のコーナーは「戦う女性」である。インドシナ戦争とベトナム戦争という、いわゆる民族自決運動に参加した兵士としての彼女たちが写真と一緒にズラリと並んでいた。とっさに頭に浮かんだのはスタンリー・キューブリックの映画『フルメタルジャケット』の終わり近くの女性スナイパーだった。おそらく彼女の頭にはジェンダー意識はなかっただろう。そんなことには関係なしに、生きることへのアナーキーな渇望だったのではないか。それは銃を持ちアメリカ兵を倒すことに他ならなかったのだろう。映画前半、海兵隊の厳しい新兵訓練に耐えられずにノイローゼとなり、ついには上官を射殺し、自らも自死する弱っちい男との対比を思い出した。
 旅の最終日、フォーは結構食べたことだしと、ハノイっ子が特別な日に訪れるという「田がに料理」を食べることにした。バナナの花や野菜、牛肉、厚揚げなどと米麺を鍋で火を通し、すり潰した田がにを投入して仕上げる田舎のごちそうだった。店内のしつらえも良く、器などは少し古いバッチャン焼を使っていて、もしハノイにまた来る機会があったらと、忘れないように店の写真を撮ろうと思って外に出てみると、さっき店にいた若いスタッフがバイクに寄りかかって休憩していた。店内で見かけた時も目立っていたのだが、柔和な顔立ちなので、一瞬、彼か彼女か判断しかねていた。カメラを向けても表情が変わらなかったのでシャッターを押した。ベトナムの軍服らしきものを着ていたが、どう見ても兵士には見えず、お洒落で着ているとしか思えない。ひょっとするとロシアとウクライナの戦争反対の意思表示なのだろうか。いや、優しいアナキストなのかも。
 

 
 
 
 

臨時休業のお知らせ

info | news
DATEOct 18. 22

誠に申し訳ありませんが、10/20(木)-23(日)の間は、ビルのメンテナンスのため、お店はお休みを頂きます。
10/27(木)より通常営業となります。
なお、通信販売は通常通り行っております。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたします。

アイテム更新 ”ジュエリーいろいろ”

info | new item
DATEOct 16. 22

当店でも長らく扱っているKathleen Whitaker(キャスリーン・ウィテカー)Melissa Joy Manning(メリッサ・ジョイ・マニング)Tej Kothari(テジ・コハリ)SOURCE objects(ソウス・オブジェクト)Melanie Decourcey(メラニー・ディコーセイ)らジュエラーたちの”身につけるアート”なアイテムと、ヴィンテージリングをご紹介しています。この機会にぜひご覧ください。
JEWELRY>>

アイテム更新

info | new item
DATEOct 4. 22

先日訪れた鹿児島で出会った、野口悦士さんの器や盛永省治さんのオブジェ。うきは市の木工作家、山口和宏さんの木の道具などをオンラインショップに更新しました。あわせてヨーロッパから入荷したヴィンテージのアイテムも更新。
マシュー・マテゴのメタルオブジェ、グンネル・ニューマンの美しいガラスベース。
照明と椅子も、載せました。
盛りだくさんです、どうぞご覧ください。
Online Shop>>

”車は走るためにある止まるためじゃない”

info | ひと 映画・音楽
DATEOct 3. 22


 ジャン=リュック・ゴダールが逝ってしまった。死因は「自殺幇助」だという。しかし、関係者によると「彼は病気ではなく、疲れ切っていたんだ」とのこと。そのほうがゴダールらしいと思うのは僕だけだろうか。 
 あの昔、西鉄福岡駅南口側に「センターシネマ」という1本立て2番館の名画座があって、高校生だった僕は気の知れた友と一緒に、学割でヨーロッパ映画をたくさん見た。『恋するガリア』,『昼顔』,『獲物の分け前』,『ある晴れた朝突然に』などという”後味が悪い映画”にシビれかけていたわけだが、それにとどめを刺したのは『勝手にしやがれ』だった。
 ジャン=ポール・ベルモンド演じるチンピラ・ギャングのミシェルは死ぬことしか考えていない。ジーン・セバーグ演じるパトリシアはアメリカの留学生。生きることしか考えていない。一夜を共にした二人だが、お互いに理解し合えないのはしょうがない。パトリシアは警察に密告し、疲れっ切ったミシェルは警官に背中を撃たれ、「最低だ」という言葉を残して死ぬ。これは、その後の『気狂いピエロ』でやはり主人公ピエロを演じたベルモンドに「地中海にようやく永遠を見つけた」と独白させ、ダイナマイトを頭に巻きつけ自死させてしまう。ジャン=ポール・ベルモンドはゴダールの化身だった。
 『勝手にしやがれ』の古い映画パンフレットを探し出し、再録された1962年の《カイエ・デュ・シネマ誌》でのゴダールのインタヴューのページをめくってみた。そうしたら、こんなことを言っていた。
 「わたしは即興的にことをはこぶかもしれない。が、その材料となるのは、古い歴史を持っているのです。数年にわたって多くのものを蒐集する。そしていきなり、撮っている作品にそれをぶち込むのです」
 ゴダールは自身がアナーキーだった点を認めている。しかしそれは思いつきでの突飛な行動とは違うインテレクチュアルな行動原理に基づいていたと思う。ゴダールは、過去に累積するさまざまな歴史を自分なりに批評し、そこから抽出した視座を映画に投入し、その破天荒な撮影と編集スタイルでデビューした。ところが「ダメ元」を承知で作った映画が大成功してしまった。ゴダールは困った。苦痛だったとさえ言っている。『勝手にしやがれ』という映画は、ジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグのドキュメントであり、つまりゴダール自身を投影した擬似ドキュメントだったからだ。
 「映画に革命を起こした」ゴダール自身は、しかし、その後も幾つもの問題作を発表する。彼なりのサービスを提供した映画もあったが、『勝手にしやがれ』ほどの大衆の支持を得ることはなかった。それならばと、共産主義を礼賛する政治的映画を撮ったが「難解で退屈だ」といわれた。でも、自身の映画への熱情は終生変わることがなかった。そして、ダイナマイトを頭に巻きつけこそしなかったが、尊厳死を選ぶことで「自分自身のドキュメント」にエンドマークを記した。
 ジャン=リュック・ゴダールが天才と呼ばれることには違和感がある。確かに「映画に革命を起こした」かもしれない。いや違う。かれは、自分に与えられた休暇を、死者として、疲れ切るまで生きただけだ。そして勝手に帰還した。
 『勝手にしやがれ』の中で、ベルモンドにこんなセリフを言わせている。
 ”車は走るためにある止まるためじゃない”

※写真は〈SOFILM〉2015年#31より抜粋。